オディロン・ルドン


プロフィール

生誕/死没

1840年~1916年

フランス

代表作

眼=気球

画像_オディロン・ルドン「眼=気球」

ルドンの初期の頃の作品。初期は色味の無い木炭画が主でした。ちょっと心が歪んでいるかのようにも感じる不気味なモチーフですよね。

閉じた眼

画像_オディロン・ルドン「閉じた眼」

ルドンの作品の中でもっとも重要な作品の一つ。この作品以降、命が吹きこまれたかのように色彩豊かな作品ばかりになります。

キュクロプス

画像_オディロン・ルドン「キュクロプス」

山の向こうからこちらを覗くギリシア神話に出てくる単眼の巨人・キュクロプス。一見怖く感じる部分もありますが、非常に柔らかく穏やかに描かれていますね。

プロフィール

生まれや環境

フランスの裕福な家庭に生まれたルドンでしたが、生後2日で里子に出されたことで、非常に寂しい子ども時代を送ります。あまり身体が強くなく、内気な子どもだったこともあり、友達同士で遊びまわるよりは、絵を描く方が好きな子どもだったようです。

一度、建築家の道を志しますが、建築の学校へ入学することができず、建築家の道は諦めることとなったようです。

そんな内気な彼に大きな影響を与えた人物は、植物学者のアルマン・クラヴォーという人物でした。干支一回り年上だったクラヴォーの教わった顕微鏡下の世界に魅せられたルドンは、微生物などをモチーフに独自の世界観を打ち出した版画などを制作します。

ルドンは、時代的には印象主義の画家たちと同時代ですが、目に見えるものを見えるままに描こうとした印象主義の画家たちと違い、あくまで幻想的な世界をこだわって描き続けました。

木炭画と版画というスタイルをずっと続けていたルドンでしたが、1880年に結婚し、子どもが生まれたことをきっかけに、突然色彩豊かなパステル画などを制作するようになります。これについては後で改めて取り上げますね。

ルドンは、印象主義とはあからさまに違う道を行く画家でしたが、象徴主義の文学者らと親交があり、彼らの挿絵を描くこともあったので、しばしば象徴主義の画家と言われることもあります。確かに夢や神秘性を象徴的に表しているともとれる作品がありますが、カラフルな花瓶と生けられた花の静物画を描いたり、宗教や神話など、様々なものをモチーフにして描いていたりするので、独自の表現を突き詰めていった孤高の画家だったといっても過言ではないでしょう。

作風

無彩から有彩へ

先程少し述べましたが、オディロン・ルドンという画家の最大の特徴であり、もっとも魅力的な部分は、人生の中でたった一度、大きく作品のスタイルが変わったことです。

もともとは木炭画や版画で、蜘蛛や微生物、眼球、生首等をモチーフにしたダークな悪夢のような絵を描いていたルドンでしたが、あるときをきっかけに、多くの色をふんだんに使ったカラフルなパステル画を描くようになります。

そのきっかけこそが、結婚した妻との間にもうけた子どもでした。長男のジャンは生まれてすぐに亡くなってしまいましたが、次男のアリが生まれた1889年頃から、にわかに絵が明るくなっていきます。

それは、幼い頃から絵や植物と内気に向き合い続けた50歳のルドンに訪れた、大きく柔らかい愛の衝撃だったのでしょう。代表作として示した「閉じた眼」が、まさに最初の有彩の作品でしたが、こうやって改めて見てみると、その閉じられたまぶたから、母性のような寛大な愛を感じとることができるのではないでしょうか。