画家「パブロ・ピカソ」を分かりやすく解説!

画家「パブロ・ピカソ」を分かりやすく解説!

今回は、スペインの画家、パブロ・ピカソを紹介するわね。

「芸術家といえばピカソ」と言えるくらい有名な20世紀を代表する画家だな!

「ピカソ」の代表作は?

ピカソは多作な上に多種多様な表現で描いたので、たくさんの代表作があるわ。

なので、ちょっと多めに紹介するわね。

パブロ・ピカソ「ゲルニカ」

パブロ・ピカソ「ゲルニカ」
1937年/ソフィア王妃芸術センター(スペイン)
参照:ゲルニカ ピカソ

パブロ・ピカソ「アヴィニョンの娘たち」

パブロ・ピカソ「アヴィニョンの娘たち」
1907年/ニューヨーク近代美術館(アメリカ)
参照:アヴィニョンの娘たち ピカソ

パブロ・ピカソ「人生(ラ・ヴィ)」

パブロ・ピカソ「人生(ラ・ヴィ)」
1903年/クリーヴランド美術館(アメリカ)
参照:パブロ・ピカソ《人生(ラ・ヴィ)》の詳細画像|MUSEY

パブロ・ピカソ「パイプを持つ少年」

パブロ・ピカソ「パイプを持つ少年」
1905年/個人蔵
参照:【作品解説】パブロ・ピカソ「パイプを持った少年」 – Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース

こうやって見ると、ほんと作品ごとに別人くらい描き方が違うな〜。

「ピカソ」はどんな人?

では、ピカソの人となりを紹介していくわね。

本名がものすごく長い

歌琳さん、ピカソの本名って知っているかしら?

本名?
「パブロ・ピカソ」じゃないのか?

実は、「パブロ・ピカソ」は本名を省略しているものなの。

え〜?!
じゃあ本当の名前は何なんだ?

出生証明書によると、
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・チプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・ピカソ
が本名のようね。

呪文みたいで混乱する……!

ちなみに洗礼名だとさらに長く、
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ
だわ。

ひ〜〜〜!!
なんでこんなに長いんだ?!

それは、聖人名や祖先の名前が入っているからよ。

でも、さすがにこの本名は実用的ではないので、「パブロ・ピカソ」と省略して名乗っていたの。

ちなみに画家デビューしたばかりのころは、父親の姓も入れて
「パブロ・ルイス・ピカソ」
と名乗っていたようね。

無類の鳩好き

意外と知らない人もいるかもしれないけど、ピカソは大の鳩好きなの。

は、鳩?!
あの鳥のハトか?

そう。

ピカソの生まれ育った町・マラガにはたくさんの鳩がいたの。
そして、美術教師だったピカソの父がよく鳩をモチーフに絵を描いていたそう。

その影響でピカソも鳩を愛するようになったようね。

なるほどな〜。

ピカソは鳩を愛するあまりに、晩年には家に鳩小屋を作ってしまったわ。

さらに、ピカソが68歳のときに生まれた末娘にはパロマ(鳩)と名付けたのよ。

うひゃ〜〜〜、本当に鳩好きだな……!

ちなみに、鳩って平和のシンボルのイメージがあると思うけど、実は「鳩=平和のシンボル」のイメージもピカソの作品によって広まったものと言われているわ。

えっ、そうなのか?!

もともと旧約聖書の創世記に平和のシンボルとして、鳩がオリーブをくわえて飛んでいる図はあったわ。

それをモチーフに、ピカソが1949年にパリで開かれた第一回平和擁護世界大会のポスターで鳩を描いたことで、「鳩=平和の象徴」というイメージが世界中に広まったのよ。

第一回平和擁護世界大会のポスター画像

ピカソの制作した第一回平和擁護世界大会のポスター。
参照:ハトが平和の象徴とされるのはなぜ? 旧約聖書 ノアの箱舟 創世記 オリーブの枝 ピカソ 平和擁護世界大会ポスター | 鳥害タイムズ | エドバンコーポレーション

豊富な女性遍歴

ピカソって言えば、多くの女性と浮き名を流した印象もあるな!

そうね。

一説によると、愛した女性から作品のインスピレーションを得ていたとも言われているわ。

どんな女性たちがいたんだ?

あまりに人数が多いので、ここではかいつまんで紹介するわね。

まずは、フェルナンド・オリビエ
画家として駆け出しのころに付き合っていた女性で、ピカソの絵のモデルも務めていたの。

ただ、ピカソは画家として成功してしまってからオリビエへの興味を失って破局したわ。

フェルナンド・オリビエの画像

フェルナンド・オリビエの写真。
参照:【アートモデル】ピカソ・モデル「フェルナンド・オリヴィエ」 – Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース

あらら……。

次に、エヴァ・グエル
ピカソがキュビスムを開発したころに出会った女性よ。
(キュビスムについては後で説明するわね)

ピカソに大きな影響を与え、一時は結婚の話も出るくらいだったんだけど、結核で亡くなってしまうの。

エヴァ・グエルの画像

エヴァ・グエルの写真。
参照:ピカソが愛した7人の女性を紹介!女性が変わると画風が変わる? | アートをめぐるおもち

そんな悲恋もあったのか……。

そして、オルガ・コクローヴァ
彼女はピカソが初めて結婚した相手だわ。
ピカソの最初の子パウロを産んだものの、その後は疎遠になってしまうの。

オルガはピカソとの離婚を拒んだのだけど、ピカソはその間に新しい愛人を作っていたわ。

オルガ・コクローヴァの画像

オルガ・コクローヴァの写真。
参照:バレエ・リュス ピカソの妻 オルガ・コクローヴァ | Life Style Concierge

え〜〜〜、ちょっとピカソさん……。

そして、このオルガと離れている間に作った愛人が、マリー・テレーズ・ウォルター

当時ピカソは45歳で、マリーはなんと17歳だったわ。

マリーもピカソとの間に娘をもうけたのだけど、ピカソはまた他に愛人を作って破局してしまうの。

マリー・テレーズ・ウォルターの画像

マリー・テレーズ・ウォルターの写真。
参照:【アートモデル】ピカソ・モデル「マリー・テレーズ・ウォルター」 – Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース

いい加減にしてくれ〜!

マリーと破局したきっかけになった愛人がドラ・マールよ。

ドラはとても知的な女性で、自身もシュルレアリストの写真家だったの。
ピカソの作品・泣く女のモデルの女性であり、代表作・ゲルニカを制作する現場に立ち会ってもいたわ。

けど、またピカソが新しい愛人を作ったことで破局。
その後、精神病院に入院してしまったの。

ドラ・マールの画像

ドラ・マールの写真。
参照:TOMORROW MAN : ピカソの五番目の愛人、ドラ・マールとその作品。 – livedoor Blog(ブログ)

冗談抜きに罪作りすぎるな……。

で、このドラと破局するきっかけになった愛人がフランソワーズ・ジローよ。

このジローも付き合っていた当時21歳と若く、ピカソとは42歳も年の差があったわ。

息子・クロードと、鳩の話のときに出てきた娘・パロマを出産したものの、横暴なピカソに耐えられなくなって子供たちを連れて家を出たの。

その後ジローはピカソの暴露本を出版して、ピカソから訴訟を起こされたものの勝訴

ちなみに、法廷で争った後もピカソとの関係は泥沼状態だったわ。

フランソワーズ・ジローの画像

ジローの写真。
参照:TOMORROW MAN : <ピカソの六番目の愛人、フランソワーズ・ジローとその作品> – livedoor Blog(ブログ)

いったいいつまで続くんだ……。

次がラストよ。
ピカソが生涯最後に付き合った女性がジャクリーヌ・ロック

ピカソが72歳のときに出会ってから91歳で亡くなるまでずっと一緒にいたわ。

ピカソは、これまでの恋人たちの中でジャクリーヌを一番たくさん描いたのよ。

二人の関係は良好だったものの、ジャクリーヌはピカソの死後、ピカソの過去の恋人たちや子供、孫たちの財産権争いに巻き込まれてしまうの。

結果、ジャクリーヌは自殺してしまったわ。

ジャクリーヌ・ロックの画像

ジャクリーヌ・ロックの写真。
参照:【アートモデル】ピカソ・モデル「ジャクリーヌ・ロック」 – Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース

最後の最後まで後味が悪いなぁ……。

「ピカソ」の作品の特徴は?

次はピカソの作品の特徴を解説するわね。

時代ごとに作風が違う

ピカソは長生きだった上に多作だったから、作風を一言で説明するのは難しそうだな!

そうね。
時代ごとに作風が全然違うわ。

こちらもさっきの女性遍歴くらい情報量が多いので、詳細は省いて紹介するわね。

ピカソが20歳を過ぎたころ、親友のカルロス・カサヘマスが恋愛のもつれで自殺したことがきっかけで、陰鬱とした作風が始まったわ。

青色を多用したことから、このころの作風を「青の時代」と呼ぶわね。

パブロ・ピカソ「自画像」

青の時代の作品の一つ、「自画像」。
参照:【教養を深める】ピカソの『青の時代』解説 | CASIE MAG – アートで毎日をちょっと豊かに。

パブロ・ピカソ「海辺の母子像」

同じく青の時代の作品「海辺の母子像」。
参照:【教養を深める】ピカソの『青の時代』解説 | CASIE MAG – アートで毎日をちょっと豊かに。

代表作で紹介した「人生(ラ・ヴィ)」も青の時代の作品ね。

感受性が豊かだったんだなぁ。

次は、オレンジやピンクといった明るい色調が印象的な「バラ色の時代」。

これはオリビエと付き合っていた時代とかぶっているわね。

パブロ・ピカソ「サルタンバンクの家族」

バラ色の時代の大作、「サルタンバンクの家族」。

代表作で紹介した「パイプを持つ少年」も、バラ色の時代の作品ね。

色調が明るいからオリビエとの日々が楽しかったのかな〜って感じるけど、「でも結局、この後破局するんだよな」って思うと悲しくなるな……。

そして次は、アフリカ彫刻や古代イベリア彫刻に影響を受けた「アフリカ彫刻の時代」が来るわ。

パブロ・ピカソ「自画像」

アフリカ彫刻の時代に描かれた「自画像」。
参照:天才だった少年が、「落書き」を描けるまで~画家パブロ・ピカソ~ | サザノノポートフォリオ

影響を受けたものが、そのまま時代名になっていて安直だ……!

そしてこの後、キュビスムの時代へ突入するのよ。

キュビスムの登場は美術史において革命的な出来事だったわ。
ピカソが天才と呼ばれるに値する功績の一つね。

パブロ・ピカソ「泣く女」

典型的なキュビスムの作品、「泣く女」。

ちなみにこのキュビスムの時代は、

・ポスト印象派の画家・セザンヌの影響を受けた「セザンヌ的キュビスムの時代
・ジョルジュ・ブラックと共にキュビズムを創始した「分析的キュビスムの時代
・コラージュ技法を用いて制作した「総合的キュビスムの時代

の三つの時代に分けられるわね。

キュビスムの解説は後ほどな!

キュビスムの時代の後には、一転して古典的で写実的な絵を描くようになるわ。
この時代のことを「新古典主義の時代」と呼ぶわね。

ちょうどオルガと結婚したころと重なる時期よ。

パブロ・ピカソ「大きな浴女」

新古典主義の時代の作品の一つ、「大きな浴女」。
参照:アート/ART  ピカソⅥ「新古典主義の時代」

パブロ・ピカソ「浜辺を走る二人の女性」

新古典主義の時代の作品、「浜辺を走る二人の女性」。
参照:浜辺を走る二人の女性 ピカソ

失礼なの承知で言うけど、なんかもう女性を不幸にしながら作品を生みだす製造機みたいだな……。

確かにそう言われても仕方がない部分はあるわよね……。

そしてその後オルガとの仲が悪くなり、シュルレアリスムの影響を受けつつ描いていた時代を「シュルレアリスムの時代」と呼ぶわ。

パブロ・ピカソ「三人の踊り子」

シュルレアリスムの時代の作品、「三人の踊り子」。
参照:パブロ・ピカソはなぜ天才なの?本名から代表的な絵画作品について分かりやすく解説! | thisismedia

パブロ・ピカソ「夢」

シュルレアリスムの時代の作品、「夢」。
参照:《夢》パブロ・ピカソ|MUSEY[ミュージー]

こうやって見ると、ほんとピカソは数年おきにガラッと絵柄を変えていたんだな〜。

というわけで、他にも「〜の時代」と呼ばれるような作風の区分はあるんだけど、今回は代表的なものだけを紹介したわ。

美術史に革命をもたらしたキュビスム

ここまで何度か出てきた「キュビスム」がどんなものなのか、そろそろ知りたいぜ!

キュビスムは、ピカソとジョルジュ・ブラックが創始した現代美術の動向のことを指すわ。

特徴は、複数の視点から見た世界を一つの画面におさめていること。

えっ、どういうことだ?

ちょっとイメージしてほしいんだけど、人の左側に立って横顔を見たとき、右側の頬は見えないわよね?

見えねぇな。

左側から見た横顔なのに右の頬も描いてしまうのが、キュビスムよ。

え〜〜〜?!
なんじゃそりゃ?!

そう。
アフリカ彫刻の時代の末期に、ピカソが初めてキュビスム的な要素を盛り込んで「アヴィニョンの娘たち」を描いたとき、ピカソの友人の画家たちはみんな今の歌琳さんみたいな反応だったわ。

アンリ・マティスは腹を立てたし、アンドレ・ドランは「ピカソは病んでいるのか?」と思ったくらいだったの。

そりゃそうだよな……。
「いったいどうしてそうなっちゃったの?!」っていう描き方だしな。

ただ、ブラックだけは
「もしかしたらこれは革命的なものかもしれないぞ……!」
と、ピカソに続いてキュビスムの作品を描くようになったわ。

そしてブラックは、その後ピカソと一緒にキュビスムを研究するようになるの。

だから、ピカソとブラックが共同創始者なんだな。

キュビスムは最初、同時代の先進的な画家たちにも、鑑賞者たちにもほとんど受け入れられなかったわ。

けど、次第に歴史を揺るがすような発見だと評価されるようになり、その影響は絵画だけでなく、彫刻、デザイン、建築、写真にまで及んだの。

改めてだけど、そんなキュビスムを創始したピカソはやっぱり天才だったんだなぁ。

「ピカソ」の作品はどこで見れる?

それでは、ピカソの作品が見られる場所をいくつか紹介するわね。

国内だと、彫刻の森美術館にある「ピカソ館」でピカソの陶芸作品が見られるわ。

え?!
ピカソって陶芸もやっていたのか?!

実はやっていたのよ。
多彩よね。

ただ、陶芸作品となるとな〜〜。
……やっぱり絵画作品とか有名な作品を見たくなっちゃうな。笑

国内でピカソの絵画作品が見られる場所となると、ポーラ美術館があるわね。

青の時代の作品やキュビスムの時代の作品などがあるので、ピカソっぽい作品を見たい人にはおすすめね。

海外だとやっぱりピカソの出身のスペインで、たくさん作品が見られる感じなのか?

そうね。

ソフィア王妃芸術センター(マドリード)
ピカソ美術館(マラガ)

で、ピカソの作品が多数見られるわ。

あとこれはスペインではないけど、ピカソの代表作・アヴィニョンの娘たちは、アメリカのニューヨーク近代美術館に所蔵されているわね。

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