「ルネサンス美術」を分かりやすく解説!

「ルネサンス美術」を分かりやすく解説!

今回はルネサンス美術について紹介するわね。

日本人も大好きなルネサンス美術だな!

「ルネサンス美術」の代表作は?

まずはルネサンス美術の代表的な作品を紹介するわね。

ボッティチェッリ「ヴィーナスの誕生」
ボッティチェッリ「ヴィーナスの誕生」
1483年ごろ/ウフィツィ美術館(フランス)
ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」
ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」
1434年/ロンドン・ナショナル・ギャラリー
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」
1495〜1498年/サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会所蔵
ミケランジェロ・ブオナローティ「システィーナ礼拝堂天井画 - アダムの創造」
ミケランジェロ・ブオナローティ「システィーナ礼拝堂天井画 – アダムの創造」
1508〜1512年/バチカン宮殿所蔵
ラファエロ・サンティ「アテナイの学堂」
ラファエロ・サンティ「アテナイの学堂」
1509〜1510年/バチカン宮殿所蔵

やっぱり有名な作品ばかりだぜ……!

「ルネサンス美術」の特徴は?

ルネサンスの特徴について、時代背景から順番に解説していくわね。

教会に代わり市民が力を持った

中世のころはキリスト教全盛期だったものの、権力争いなどがおこって徐々に教会の権力が失われていったことは、ゴシック美術ロマネスク美術の記事でも触れたわよね。

そうだな!

教会が衰退していく一方で、商人などの市民がどんどん力をつけていくわ。

市民の時代がやってきたんだな。

最初は、十字軍などの影響で東方貿易をおこなうようになった港町から商業が栄えていったわ。

それに伴い、内陸の町でも産業が生まれて裕福な商人が生まれたの。

他の町と交易をおこなっていったことで、ヨーロッパ全体が栄えていったってことか。

中でもフィレンツェは毛織物業で栄えたわ。

フィレンツェでは裕福で権力のある一族「メディチ家」が登場して、イタリアのルネサンスの中心地となったの。

メディチ家は聞いたことがあるぜ!
ミケランジェロやボッティチェッリのようなルネサンスの人気画家たちのパトロン(※)になった、フィレンツェの有力市民だよな。

※パトロン:芸術家の後援者、支援者のこと。

そうそう。

実はルネサンスでは、メディチ家のような商業で成功した有力市民が芸術家たちを保護したことで、芸術家という仕事がきちんと確立したのよ。

ルネサンス以前はどうだったんだ?

中世のころは芸術家という職業は存在していないに等しく、聖職者と兼任の職人だったのよ。

なるほど、どおりで中世はあまり芸術家の名前が残っていないのに、ルネサンスでは数多くが伝わっているわけだ……!

ルネサンス=再生、復活

ところでルネちゃん、「ルネサンス」ってぶっちゃけ何なんだ?

古代ギリシャ・ローマの学問や知識の復興を目指す文化運動のことよ。

ルネサンスはフランス語で「再生」、「復活」という意味があるの。

古代ギリシャ・ローマってなると、キリスト教以前の世界だよな。

なんでそんな昔の文化を復興しようとしたんだ?

キリスト教がローマ帝国の国教となって以来、1000年もの間、ヨーロッパの文化はキリスト教一色だったの。

それは逆を返せば、多様性が無い状態だったわ。

学問も芸術もキリスト教中心だったんだな〜。

ところが、さっきも言ったように中世の末期ごろから教会が衰退し市民が力を持つようになったわ。

その結果、分かりやすく言うと「目が覚めた」状態になったの。

目が覚めた……?

ルネサンス以降の人々は
中世はキリスト教一色だった所為で、学問や文化が進歩せず停滞した!
と考えるようになったの。

暗黒時代ってやつだよな!

過ぎ去った時代のことを「暗黒」と表現するなんてひどいな〜って思うけど、それだけルネサンスの衝撃が大きかったんだろうなぁ。

神のためから人のための芸術へ

ルネサンスが起こった時代背景は分かったぜ。

でも、なんで新しい価値観を生みだすんじゃなくて、古代ギリシャ・ローマの文化を復興しようとしたんだろうな?

理由は主に二つあるわね。

まず一つは、東方貿易でイスラム教圏などを経由して古代ギリシャ・ローマの知識体系を逆輸入したことよ。

そしてもう一つは、イタリアにある古代ローマの遺跡が再発見されたこと。

これによって、現代で言うところのレトロブームみたいなものが沸き起こったわ。

なるほど、レトロブームか!
そういう感覚だったのな〜!

あとは芸術が、神を祀るためだけでなく一般市民のためにも制作されるようになったことも大きいわね。

代表作の「アルノルフィーニ夫妻像」はまさにそうだよな!
イタリア人商人の夫婦の結婚証明として描かれたものらしいし!

市民が力を持った時代背景と、現実世界の美を追求した古代ギリシャ・ローマの芸術が、ピタリと当てはまった結果がルネサンスだったと言えるわね。

人や自然をリアルに描く

エジプト美術やゴシック美術、ロマネスク美術のように宗教の影響が色濃い時代の作品は、

・精神世界を描く
・平面的でリアリティーが無い
・表現方法が形式化されている

という特徴があるわ。

でも、ルネサンスの場合は……、

逆になるから、

・自然や人を描く
・立体的でリアリティーがある
・感情表現などが豊か


ってことだよな!

そういうことね♪

これは実際に、ルネサンスの作品と中世の作品を比較してみると分かりやすいと思うわ。

こうやって見ると全然違う!

ちなみに、日本でルネサンス絵画が人気あるのも、こういう特徴が関係しているのか?

そうね。

まったく違う宗教性や文化を持った日本人にも受け入れられているのは、
知識の無い人が鑑賞しても分かりやすく美を感じられるから
と言えるわね。

なるほどな〜。

それにしても、神のためか人のためかで、ここまで表現に違いが出るのはめっちゃ興味深いぜ。

キリスト教文化とうまく融合

教会の権力が衰えたとはいえ、ルネサンスの時代もキリスト教絵画はたくさん作られたわ。

ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」とかミケランジェロの「最後の審判」は、どちらもキリスト教関連の施設に施された絵画だもんな〜。

そう。
ルネサンスの芸術家たちは、メディチ家のような有力市民からだけでなく、教会からの注文でも制作をおこなっていたの。

まぁその教会自体、有力市民が保護していたみたいだけどな!

だから、ルネサンス期の美術の特徴をまとめると、

・キリスト教をモチーフにしたものが多い
・が、描かれているキリストや聖人たちに人間味がある
・背景や自然の描写にもリアリティーがある


と言えるわね。

「ルネサンス美術」が見れる場所は?

日本国内でルネサンス美術が見られる場所ってあるのか?

残念ながら、日本国内でルネサンス美術がまとまって常設されている場所は無いわ。

ただ、ルネサンス以前の美術よりは日本人からの人気が高いこともあって、企画展が催される可能性が高いわね。

おお!いいな!

ただ、企画展が開くまで我慢っていうのは待ち遠しいな〜〜!!

今回の記事を読んで、
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