今回は現代美術家の奈良美智について紹介するわね。
アートに詳しくない人でも知っている人が多い、人気のアーティストだな!
「奈良美智」の代表作は?
まずは奈良の代表作をいくつか見ていきましょう。
奈良美智「Cosmic Girl(Eyes Open, Eyes Shut)」
2008年
参照:Yoshitomo Nara Cosmic Girl, Eyes Open Print | Kumi Contemporary
奈良美智「Knife Behind Back」
2000年
参照:【作品解説】奈良美智「Knife Behind Back」 – Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース
奈良美智「Dead of Night」
2016年
参照:Dead of Night
奈良美智「あおもり犬」
2016年/青森県立美術館所蔵
参照:奈良美智(ならよしとも)『あおもり犬』の意味や埋まっている理由は三内丸山遺跡?【新・美の巨人たち】 | 美ゼミ!美術の成績アップ講座
やっぱり特徴的な顔の子供の絵は印象に残るよな〜。
「奈良美智」はどんな人?
次に、奈良がどんな人物か紹介するわ。
ネオポップのアーティストとして注目
奈良は1959年12月5日に青森県弘前市で生を受けたわ。
大学では武蔵野美術大学に入学したもののお金の事情で一年で中退。
その後、愛知県立芸術大学に入学して、院まで進学したわ。
中退はしたものの、順当にアートの道へ進んだ感じだな!
奈良が評価されるようになったのはいつごろなんだ?
奈良は、1990年代のネオポップの潮流の中で評価されるようになったの。
ネオポップ?
ネオポップは、90年代に出てきた若手アーティストたちが中心となった美術の潮流のことよ。
漫画やアニメなどサブカルチャーのイメージを多用したことから、
「新しいポップアート」
という意味でネオポップと呼ばれたわ。
ポップアートって、アンディ・ウォーホルとかが1960年代に活躍した美術の潮流のことか?
そのとおりね♪
確かにポップアートも、雑誌、漫画、広告などを素材として利用しているし、かなり近しい印象だな!
描かれるモチーフのキャッチーさもポップアート的よね。
好きなものは音楽とカレー
奈良は大の音楽好きとしても知られるわ。
作品制作の際にはいつも音楽を流しているのよ。
どんな音楽が好きなんだ?
さまざまな音楽に造詣が深いようだけど、60〜70年代の洋楽やルーツ・ミュージック(※1)に至るまでくわしいようね。
(※1)ルーツ・ミュージック:現代の大衆音楽のもとになった土着の音楽のこと。
マニアだ……!
奈良はただ音楽好きなだけでなく、アメリカや日本のバンドのCDジャケット制作をおこなったり、ニルヴァーナのカート・コバーンを模したキャラクターを描いたりしているのよ。
奈良美智が描いたカート・コバーン。
参照:奈良美智+graf 「HOME」展 : cherry pie
ほんと音楽好きなんだな〜。
あと、奈良はカレーも好きなようね。
現代洋子のノンフィクション漫画「おごってジャンケン隊」にゲスト出演したときには、アトリエの近所にあるCoCo壱番屋をオススメとして挙げているわ。
なんかものすごい庶民的でほっこりする……。笑
Twitterでラッセンをこき下ろす?!
これは2013年のことなんだけど、あるギャラリーのディレクターの、
「奈良さん好きな人とラッセン好きな人は同じだと思う」
という発言に、奈良がTwitterで大激怒したことがあったの。
え〜?!
……で、ラッセンって誰だ?
ラッセンは、きっと誰もが一度は見たことがあるハワイの海やイルカの絵で有名な画家よ。
バブル期の日本で大ヒットした画家なの。
バブル期の日本で大ヒットしたラッセンの絵。
参照:超ラッセン原画展
あ!
お笑い芸人の永野さんのネタの
「ゴッホより〜、普通に〜、ラッセンが好き〜♪」
の、ラッセンか!
そうそう。
説明が難しいところではあるんだけど……。
ラッセンの作品は、絵画商法(※2)で広まったこともあって、
美術品として価値のないインテリアアート
という評価をくだされていて、アート市場ではほとんど無視されている存在なの。
(※2)絵画商法:大量に複製されているインテリアアートをイベント会場等で高額で売りつける商法。その詐欺的な商法がかつて日本で問題になった。
なるほど……。
そのラッセンと同じ扱いをされたから奈良は怒ったのか……。
というより、奈良は自分の作品のファンを侮辱していることに対して怒ったのよ。
ちなみに、その怒りをTwitterでぶちまけたとき、奈良はラッセンのことを
「つうか、俺、ラッセン大嫌い。
ああいう平和頭の理想的自然志向は理解できない」
と思いっきりこき下ろしたわ。
熱いところがある人なんだなぁ……。
奈良がプライドを持って作品制作と向き合っていることの現れね。
「奈良美智」の作品の特徴は?
それでは、奈良の作品の特徴を解説するわね。
目つきの鋭い子供のモチーフ
奈良の作品といえば、やっぱり目つきの鋭い子供っていうイメージが強いよな〜。
奈良美智の代名詞でもある、目つきの鋭い子供。
参照:奈良美智展、30年間のドローイングを公開
やっぱりそうよね。
歌琳さんは、奈良の描く子供を見てどんな印象を受けるかしら?
ん〜、そうだなぁ。
確かに目つきは悪いけど、怖い感じはないかなぁ。
顔のパーツも丸っこくてかわいらしいし。
グッズもいろいろ出ていておしゃれだし!
うんうん。
きっとこの記事を読んでいる方も、多くは歌琳さんのような感想を抱いているんじゃないかしら。
やっぱりそうだよな〜!
ただ、奈良は決して「ポップで大衆受けするもの」を創ろうとしていたわけではないの。
現実への反抗心などを象徴
奈良は目つきの鋭い子供のモチーフに
・現実への反抗
・独立のための闘争
・幼い頃の魂への回帰
といったメッセージを込めていると言われているの。
そうなのか!
とりわけ、「現実への反抗」は大きなテーマになっているわね。
実は、奈良の作品には反戦を訴えるものが多いのよ。
奈良美智のドローイング集「NO WAR!」。
NO WARは、「戦争放棄」という意味。
参照:奈良美智のドローイング集『NO WAR!』、「反戦」テーマの作品&後藤正文の寄稿文収録 – 書籍ニュース : CINRA.NET
全然知らなかった……。
奈良の描く子供は、大人に反抗してにらみつけるように、不条理な現実への反抗心を象徴しているの。
このことを分かっているかどうかで、見え方が全然違ってくるな……。
今までは「ポップでかわいいなぁ」だったものが、今改めて見ると反抗的な目にドキッとしてしまう……。
呼吸をするようにドローイングを描く
奈良の作品の特徴として、ドローイングがものすごく多いというのがあるわね。
ドローイングってなんだ?
「ドローイング」は美術用語で線画という意味があるわ。
色を塗るのではなく、線で描かれたものを指すの。
ちなみにしっかりと色を塗るまでする作品のことを「ペインティング」と言うわね。
なるほどな!
あ、でも確かに奈良の作品はドローイングが多いイメージがあるなぁ。
ドローイングだけを集めた画集も出ているくらいだし。
奈良は呼吸をするようにドローイングを描くそう。
自分の感情が見える形でラフに表現できることもあって、奈良はドローイングを好んでいるようね。
ドローイングを通じて、見る人とコミュニケーションをとっている感覚なのかもな!
「奈良美智」の作品はどこで見れる?
国内だと、
・青森県立美術館(青森県)
※展示作品は「あおもり犬」
・弘前れんが倉庫美術館(青森県)
※展示作品は「A to Z Memorial Dog」
・十和田市現代美術館(青森県)
※展示作品は「夜露死苦ガール2012」
・原美術館(東京都)
※展示作品は「My Drawing Room」
に奈良の作品があるわね。
故郷の青森には多い感じだな!
それと、栃木県には「N’s YARD」というアートスペースがあるわ。
N’s YARDは、奈良自身が
「作品をより身近に感じてもらいたい」
という思いから、創設した私設のアートスペース。
おお〜!
N’s YARDには、奈良の作品はもちろんのこと、
・他の現代美術家の作品
・奈良のレコードジャケットのコレクション
・奈良の収集したオブジェ
なども展示されているのよ。
楽しそうだな!
奈良の作品を画集で見たいという方は、たくさん出ているのでチェックすると良いと思うわ。
まずは絵画作品の自選集。
▼ 画集「YOSHITOMO NARA SELF-SELECTED WORKS PAINTINGS」
で、こっちは自選のドローイング集だな!
▼ 画集「YOSHITOMO NARA SELF-SELECTED WORKS WORKS ON PAPER」
ドローイング画集なら記事内でも紹介したけど、「NO WAR!」もあるわね。
▼ 画集「YOSHITOMO NARA NO WAR!」
これは絵本形式の画集だぜ。
面白いよな〜!
▼ 画集「ともだちがほしかったこいぬ」