アートの由来、語源は?

アートの由来、語源は?

アートってぶっちゃけ何なの?という問いには「アートって何?」という記事でお答えしました。

そこで今回の記事では、アートという言葉がいつどこで生まれて、今日本にどう定着しているのかをお話ししていこうと思います。

海外から輸入した概念

アートという言葉が’art’という英単語の音写(発音をそのままカタカナにしたもの)であることはみなさんご存知のことと思います。

そんな’art’という英単語は明治時代に輸入した言葉なんですよね。

それまでは日本になかった言葉だったので、‘芸術’と翻訳されました。

ちなみにもともとは’リベラル・アーツ’という意味で’art’という言葉を輸入したようです。

リベラル・アーツ?となった方のためにWikipedia引用しておきますね。

ギリシャ・ローマ時代に理念的な源流を持ち、ヨーロッパの大学制度において中世以降、19世紀後半や20世紀まで、「人が持つ必要がある技芸(実践的な知識・学問)の基本」と見なされた自由七科のことである。具体的には文法学・修辞学・論理学の3学、および算術・幾何(幾何学、図形の学問)・天文学・音楽の4科のこと。

リベラル・アーツ – Wikipedia

そう。
実は’art’には、今日使われている芸術やこのリベラル・アーツの意味以外にも、もともとさまざまな意味があるんですよね。

結局、現在では’art’も’芸術’もみなさんがイメージするような’アート’の意味に落ち着きましたが、アートとは何か?を掘り下げるためにも、’art’という言葉の歴史を追ってみましょう。

語源はラテン語’ars’

アートの語源はラテン語の’ars’という言葉です。

この’ars’という言葉には、「技術」「資格」「才能」などといった幅広〜い意味がありました。

この’ars’の中に、今日で言うところのアート的な意味合いがまったくなかったかと言うとそうではありません。

一応、「技術」という意味の中に、「人が手を施して装飾する」という意味合いも含まれていて、これが現在のアートの直接の由来になっています。

科学が発展して変化した’art’

ラテン語の’ars’はやがて英語に組み込まれていき、’art’という言葉になります。

ですが、’art’になってもその意味は「技術」や「わざ」という、まだまだ幅広〜いものでした。

もはや、人間の手で何かを施すこと全般を言うんですよね。

なので、‘art’には医術や建築工学、果ては学問という意味まで含まれました。

ですが、そうやって幅広く使われてきた’art’という言葉が、産業革命以降徐々に変化していきます。

ヨーロッパでは産業革命をきっかけに、18世紀頃から科学が発展していったんですね。

その中で、科学力を駆使して実用的なものを作り上げる技術がどんどん向上していきました。

結果、実用的なものを作る技術を’technology’という言葉で表すようになったんです。

この’technology’は、ギリシャ語の’téchnē(テクネー)’が由来の言葉ですね。

(これもまた日本で馴染みのある言葉ですよね〜。)

すると、もともとあらゆる技術に対して使われていた’art’は意味を狭め、装飾や美的なものに対して使われるようになります。

実用性のない美を追究

‘art’の意味が技術全般だった頃は、絵画や彫刻、音楽などは基本的にキリスト教の布教や信仰のために使われていました。

また、建築などは生活のために使われるもので、装飾はあくまで脇役でした。

近代になるにつれて、そういった脇役だった’art’たちが宗教や生活と切り離され、独立して美を追究する活動へと繋がっていきます。

すると、その’art’もまた、近現代になってくると一気にジャンルに細分化していきます。

細分化したジャンルの中には、

  • ‘art’の存在を否定する’art’
  • 指示だけの’art’
  • 四角を描いただけの’art’

など、一般の人にはにわかには理解できないものもあります。笑

複雑になりすぎた現代アート

きっとこの近現代辺りで、‘art’の定義が複雑になってしまって頭がこんがらがっている人が多いと思います。

大学時代に西洋美術史を研究していた僕ですら、

なんでこれが’art’なんだ……?
‘art’ってなんだ……?

となりましたからね……。笑

分かりにくくなってくると、悲しいことですが正しい価値が認められなくなってきます。

欧米であれば’art’の歴史がきちんとありますし、’art’の教育にも力を入れているので、価値がそこまで大きく失われることはありません。

ですが、そもそも’art’という概念が存在しなかった日本では、’art’の価値はどんどん下がっていってしまいます。

よく分からないし、そんなものいらなくない?

となってしまうのです。

その結果が、世界レベルで活躍する日本人の現代アーティストがほとんど存在しなかったり、アート市場の規模が諸外国と比べて小さかったりすることに繋がっています。

カタカナ語’アート’の誕生

……お気付きの方もいたかもしれませんが、本文中ではわざわざ、カタカナ語の’アート’ではなく英語の’art’を使っています。

それは、カタカナの’アート’が、’art(芸術)’と別物だからなんです。

実は’アート’は、難しくて分かりにくいと敬遠されがちな’art(芸術)’を簡単そうに見せるために使われるようになった言葉だったんですね。

技術を駆使して表現しているものであれば片っ端から「○○アート」と呼ばれますし、手作りのアクセサリーや陶器のフリーマーケットを「アート市」というイベント名で開催します。

言っちゃあれですが、地域振興やアート市場活性のために、ただでさえ曖昧な芸術の定義をさらにあやふやにして、消費者に気に入られるように’アート’と言っているだけなんですよね。

その所為もあって、我々は‘art(芸術)’と’アート’に違いがあるように感じてしまうのです。

そう考えると、’アート’という言葉の乱用こそがart(芸術)の価値を貶めているんじゃないか?とすら思います。

まぁ、それはちょっと暴論ですし、持論の域を出ませんけどね!

こういった’art’と’アート’の違いのような、言葉の定義にまつわるあれこれは下記の記事でやさしく解説していますので、気になる方はそちらも読んでみてください!

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