【西洋美術史】「ギリシャ美術」を分かりやすく解説!

【西洋美術史】「ギリシャ美術」を分かりやすく解説!

今回は「ギリシャ美術」について解説していくわね。

「西洋美術史のはじまり」とまで言われるギリシャ美術が、いったいどんなものなのか気になって仕方ないぜ!

「ギリシャ美術」の代表作は?

ギリシャ美術の代表作は、きっとみんなが知っているものばかりだと思うわ。

円盤投げ像
紀元前450年ごろ/大英博物館所蔵
参照:ルーブル彫刻美術館

パルテノン神殿
紀元前447年〜紀元前431年/アテネ(ギリシャ)
参照:Wikipedia

ミロのヴィーナス
紀元前2世紀/ルーヴル美術館所蔵
参照:ルーブル彫刻美術館

ラオコーン像
制作年不明/ピオ・クレメンティーノ美術館所蔵
参照:世界史の窓
サモトラケのニケ
紀元前200年ごろ〜前190年ごろ/ルーヴル美術館所蔵

知っているのばっかりだぜ!
それにしても彫刻だらけだな〜。

「ギリシャ美術」の特徴は?

ギリシャ美術は、紀元前7世紀ごろから紀元前3世紀ごろまでに栄えた古代ギリシャの美術のことを指すわ。

ただその始まりに関しては、分かっている限り紀元前7世紀ごろから始まったらしいとしか言えないの。

なんで始まりが分かっていないんだ?

始まりはよく分かっていない

それを説明するためには、古代ギリシャより前に地中海で栄えていた文明について触れる必要があるわね。

へー!地中海エリア(南ヨーロッパや北アフリカ)の辺りにも文明があったのか!

地中海では最初、「エーゲ文明」という文明が栄えていたの。

ちなみに、
・小アジア(アナトリア半島)で栄えたトロイア文明
・ペロポネソス半島で栄えたミケーネ文明
・クレタ島で栄えたミノア文明
などを総称してエーゲ文明と呼んでいるわ。

それぞれの文明で時期は違うけど、最古のものだと紀元前3,000年ごろから始まっているの。

すげぇな!
エーゲ文明のころは美術が栄えていたのか?

ええ、栄えていたわ。

豪華な宮殿や複雑な装飾の陶器などが、作られたことを示す遺構や遺物は出土しているの。

ただ、エーゲ文明は紀元前1200年ごろに原因不明の衰退をして、そのすべてが滅亡してしまったのよ。

ええ?!
それでどうなったんだよ?

エーゲ文明が滅亡してから古代ギリシャが興るまでの500年間は、何があったかほとんど分かっていないの。
この分かっていない時期のことを暗黒時代と呼ぶわ。

美術史の観点で一つ言えることは、エーゲ文明の美術はギリシャ美術にほとんど引き継がれなかったということ。

文明が途切れてしまっただなんていったい何があったんだ……。

他の民族によって滅ぼされたとされる説が主流だけど、滅亡の原因ははっきりと分かっていないわ。

ちなみにさっき暗黒時代と言ってしまったけど、現在は
「文化が完全に廃れたのではなく、新しい時代に突入しただけ」
とする研究者もいて、暗黒時代という概念自体が見直されつつあるのよ。

自然主義へ踏み出したアルカイック期

さて、暗黒時代とも呼ばれる時期を経て生まれた古代ギリシャの美術は、およそ三つの区分に分けられるのよ。

具体的には、
・アルカイック期
・クラシック期
・ヘレニズム期

の三つ。

アルカイック?クラシック?ヘレニズム?
どれもカタカナだから想像つかないんだけど、それぞれどんな特徴があるんだ?

まず「アルカイック期」の特徴だけど、この時期は美術はエジプト美術やメソポタミア美術の影響が見られるわ。

オーセールの婦人
紀元前7世紀後半/ルーヴル美術館(フランス)
参照:ルーヴル美術館の公式ウェブサイト

あ!確かになんかエジプトとかメソポタミアっぽい!

この作品では片手を胸に当てているけど、アルカイック期には両手をももに当てて直立しているほぼ左右対称の彫刻が多いわ。
そして大きめに強調して彫られた目。

これらはエジプト美術やメソポタミア美術的よね。

エジプト美術とかメソポタミア美術について知りたい人は、別の記事で紹介しているからそっちも読んでみてくれ!

話を戻すわね。

実はギリシャ美術で、エジプト美術やメソポタミア美術の影響が見られるのはアルカイック期の初期のころだけなのよ。

間もなくギリシャ美術ならではの特徴が現れるわ。
これを見てみて。

テネアのアポロン像
紀元前560年ごろ/グリュプトテーク美術館(ドイツ)
参照:Wikipedia

あっ!
なんか……、どことなくエジプトやメソポタミアの感じと違う……!

まず、筋肉や体の筋がリアルになっているわよね。

そうだな!
まだ目は大きい感じがするけど、全体的にバランスがいいな。

それと、足が前後に開いているでしょう?

これによって、完全に足がそろっている直立不動より自然体な感じがしないかしら?

確かに。
リアリティーがあるよな。

さらに見てほしいのが口元

テネアのアポロン像(部分)
参照:Wikipedia

口元だけ笑っている…?!

これは「アルカイック・スマイル」というものよ。
いかにして彫刻に生命が宿っている感じを表現するか考えた結果、生み出された技法と言われているわ。

あ!
あれだろ?日本の仏像にもアルカイック・スマイルしているやつあったよな!

菩薩半跏像(伝如意輪観音)
7世紀ごろ/中宮寺所蔵
参照:聖徳宗 中宮寺 公式ホームページ

そうそう。
仏像のアルカイック・スマイルはギリシャ美術のアルカイック期から来ている名称なのよ。

なるほどな〜。
ちなみに彫刻以外の美術はどうだったんだ?

そうね。
陶芸については、暗黒時代には幾何学文様ばかりだったところから「赤絵式」という技法で作られた陶器が生まれたの。

エウフロニオス「酔っ払いと娼婦」
紀元前500年ごろ/大英博物館所蔵

おおー!
絵の部分以外を黒く塗りつぶして焼いているのか、なるほどな〜。

あと、実は絵画作品もあるのよ。

ポリュグノトス「トロイア陥落」(復元)(部分)
紀元前5世紀中ごろ

これもエジプト美術と比べると立体感と奥行きがあるな!

そう。
ギリシャ美術全体に通ずる特徴として、人体を誇張・抽象化しない自然主義的な表現があるわ。

なんで彫刻が多いの?

なぁ、ルネちゃん。
この時点ですでに気になっているんだけどさ、ギリシャ美術って彫刻が多いよな?
それってなんでなんだ?

そうね。
確かにギリシャ美術の歴史は「彫刻の歴史」と言っても過言ではないくらいね。

これには、当時のギリシャの哲学者たちの「美」に対する考え方が影響しているわ。

どんな考え方をしていたんだ?

すご〜く簡単に言うと、
「見るものが感動するほどの完全な美しさこそが『美』だ!」
と考えていたの。

その結果、完璧な美を備えている存在=神々をいかにして表現するかが重要だったのよ。

それで一番適していた技法が彫刻だったの。

なるほどな〜。
でも、古代ギリシャの彫刻が現代の日本人にも人気がある理由がなんとなく分かったぜ!

見て分かる美しい肉体表現を追求しているから、鑑賞者に知識がなくてもその美しさが伝わるんだろうな〜。

ザ・古代ギリシャ美術のクラシック期

それではまた歴史の流れに戻るけど、アルカイック期の次に到来したのは「クラシック期」よ。

この時期のギリシャ美術はエジプト美術やメソポタミア美術の影響から完全に脱して、完成されたと言ってもいいわね。

おお!
どこら辺が完成された感じなんだ?

アルカイック期にきざしが見えていた自然主義的な表現がさらに発展して、「コントラポスト」という表現が確立したわ。

コントラポスト?

コントラポストとは、体重の大部分を片脚にかけて立っている人体を表現することよ。

言葉より実際のものを見た方が早いと思うわ。

コントラポストの例。
右脚に体重を乗せており、左足のかかとが地面から浮いている。
また、右側の骨盤がきゅっと上がっているのも分かる。

なるほど!
って、これ現代のイラストレーターさんや漫画家さんもおこなっている表現だな!

コントラポストの例(現代版)
参照:棒立ちキャラ絵を卒業! 躍動感を生むポーズ 「コントラポスト」とは? | いちあっぷ

そしてクラシック期は建築でもギリシャ美術を代表する「パルテノン神殿」が作られた時期なのよ。

民主政をおこなっていた都市国家アテナイ(現・アテネ)がもっとも繁栄していたことの象徴でもあるわ。

躍動感と無表情のヘレニズム期

ヘレニズム期はどういう時期だったんだ?

ヘレニズムの説明をするためには、まずその言葉の意味を知る必要があるわ。

ヘレニズムは、ギリシャ文化とオリエント文化が混ざり合って生まれた文化のことよ。

オリエントはヨーロッパから見て東方の地域のことだよな?
当時だと、エジプトとかメソポタミアとかインドとか……。

そうそう。

じゃあなんでギリシャ文化とオリエントの文化が混ざったか。
それは、古代ギリシャの文化圏の一部を担っていたマケドニアの王・アレクサンドロス大王が東方遠征してオリエントを征服したからなの。

地中海からインドの辺りまで支配したのか……!
すげぇな……!

それでもヘレニズム期の初期のころは美術様式にあまり大きな変化がなかったのよ。

依然として完成された美を追求して神々の姿を彫刻にしていたしね。

でも徐々に、クラシック期と比べるとコントラポストがより極端になっていくわ。

コントラポストがより極端になり「S字曲線」となったラオコーン像。
参照:世界史の窓

うぉっ?!
体がぐねぐねじゃねぇか!
このポーズをしろって言われたら肉離れ起こしそうだぜ……!

そうね。
このヘレニズム期に生まれた、より強調されたコントラポストを「S字曲線」と言うの。

なるほどな〜。
他にはどんな変化があったんだ?

そうね、ヘレニズム期も後半になると彫刻から表情が消えるわね。

ミロのヴィーナスを見てみると分かると思うわ。

ミロのヴィーナス(部分)
参照:Wikipedia

む、無の顔をしている……っ?!

無表情が増えた理由としては、この時期の人々の間で「感情を公で出すのは野蛮だ」という考え方があったからと言われているわね。

そうか〜。
別に人前で笑ったり泣いたりしてもいいと思うけどな〜。

実は代表作に挙がっている「ラオコーン像」も「ミロのヴィーナス」も「サモトラケのニケ」も、すべてヘレニズム期の作品なのよね。

現代人に「ギリシャ彫刻」として知られているのは、意外とこの時期の作品が多いかもしれないわ。

な、なるほど……。
どおりでギリシャ彫刻ってどこか怖いイメージがあったわけだ……。
無表情なんだもんなぁ。

ローマ人をもうならせたギリシャ美術

ヘレニズム期の後はどうなるんだ?

紀元前3世紀ごろにイタリア半島を統一したローマ人がギリシャ人の土地にどんどん侵入していった結果、古代ギリシャは滅亡してしまうの。

なるほど、それでギリシャ美術もおしまいってわけか……。

いえ、そんなことはないわ。

最初こそローマ人はギリシャ人の都市国家を征服するたびに美術品や建築を壊していたわ。

けど、徐々に「ギリシャの美術ってすごくない?」と気付き始めたの。

その結果、ローマ人の間でギリシャ美術ブームが沸き起こったのよ。

ギリシャ美術すげぇぇぇぇ!!!

ローマ人がギリシャ美術を保護したり取り入れたりしていなかったら、きっと西洋美術の歴史は大きく変わっていたと思うわ♪

「ギリシャ美術」が見れる場所は?

残念ながら、日本でギリシャ美術を鑑賞できる場所は限られているわ。

美術館ではなく博物館の企画展でときどき展示がおこなわれるけどね。

マイナーではあるけど、「京都ギリシアローマ美術館」という私設美術館があるみたいだな!

調べたけど公式サイトが無いっぽいんだよな〜。
一応、美術館を紹介している記事を見つけたから載せておくぜ!

▶︎ 京都ギリシアローマ美術館 | 京都ミュージアム探訪

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