「新印象派」を分かりやすく解説!

「新印象派」を分かりやすく解説!

今回は新印象派について紹介していくわ。

印象派ポスト印象派に新印象派……。
いろいろありすぎて混乱しちゃうぜ……!

「新印象派」の代表作は?

まずは新印象派の代表作を見ていきましょ。

ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」
ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」
1884〜1886年/シカゴ美術館(アメリカ)
ポール・シニャック「サン=トロペの港」
ポール・シニャック「サン=トロペの港」
1901年/国立西洋美術館(東京)

これって、点描ってやつだよな!
なんだか印象派とはまた違う、独特な雰囲気があるよな〜!

「新印象派」の特徴は?

では、次に新印象派の特徴について解説するわね。

新印象派といえば「点描」

代表作を見ていて思ったんだけど、もしかして新印象派の最大の特徴って点描か……?

そのとおりね。
誰が見ても分かる、分かりやすい特徴としては点描があるわ。

やっぱり!

だから、新印象派は「点描主義」と呼ばれることもあるの。

新印象派の画家たちはそう呼ばれることを好まなかったようだけどね。

なるほどな〜。

それにしても、なんで点描という技法に至ったんだろうな?
確かに綺麗ではあるんだけどさ。

新印象派が点描という技法にたどり着くまでを知るには、まず印象派についてある程度理解できている必要があるわね。

まだ印象派の記事を読んでない人は、ぜひ読んでみてくれ!

印象派の色彩表現をより科学的にした

歌琳さん、印象派が「筆触分割」という技法を開発したことはすでに知っているわよね?

筆触分割は、なるべく色を混ぜずに原色の状態で並べる技法だよな!

そうね♪

自然の光を描こうとした印象派は、視覚効果によって画面を明るく見せるために筆触分割をおこなうようになったの。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ぶらんこ」
右の女性の服が白なのは分かると思うが、拡大してみると……。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「ぶらんこ」(部分拡大)
さまざまな色を並べて光の中の白い布が表現されている。

新印象派は、その筆触分割を科学的な理論に基づいて実践したグループなのよ。

科学的な理論に基づいて……?!

実は、印象派は人間の視覚の仕組みや色彩理論をよく研究した上で筆触分割をおこなっていたわけではないの。

あくまで感覚的におこなっていたってことか。

そう。

新印象派の画家たちは、当時出版されていた光や色に関する科学書を読んで研究をおこなったの。

その結果、印象派のおこなっている筆触分割が不完全であると考えたわ。

どう不完全だったんだ?

印象派は、混色しないように徹底していたわけではなかったの。

実際に印象派の絵を拡大して見てみると、乾いていない色同士が重なって濁っている箇所があるわ。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ぶらんこ」(部分拡大)
印象派は色の分割が厳密ではなく、重なったり混ざったりしている箇所がある。

一方の新印象派は、かなり厳密に絵の具を並べておいているのが分かると思うわ。

ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(部分拡大)
新印象派は細かく厳密に色を並べて表現しているのが分かる。

本当だ……!

ってか、色がきれいに並んでいるのもそうだけど、新印象派の方がタッチが一定だな……!
ほぼ同じ大きさで塗られているじゃん!

そう。

・細かく揃ったタッチにする
・厳密に色を並べる


というのが、より厳密な筆触分割のために重要だったの。

そうか!
点描こそが、科学理論に基づいた筆触分割をおこなうためにもっとも合理的な技法だったのか……!

そういうことよ♪

理論派のスーラとコミュ強のシニャックの名コンビ

新印象派には中心的な画家が二人いたの。

一人は、ジョルジュ・スーラ

スーラの本人写真
スーラの本人写真

そして、もう一人はポール・シニャック

シニャックの自画像
シニャックの自画像

研究家タイプで理論派だったスーラは、自分なりに光や色の研究をおこなって点描の技法を開発した新印象派の先導者。

理系男子って感じでかっこいいな!

スーラは、満を持して最後の印象派展に「グランド・ジャット島の日曜日の午後」を出展して、高く評価されたわ。

新印象派というネーミングも、スーラが評価されたことで批評家がつけたものだったの。

スーラ自身はあんまり気に入ってなかったみたいだけどな。笑

そんな新印象派の筆頭だったスーラだったんだけど、なんとわずか31歳で亡くなってしまったの。

え〜っ?!
何があったんだよ?!

死因ははっきり分かっていないんだけど、複数の感染症に罹っていたという説もあり、病死だと思われるわ。

そうか〜……。

とにかく寡黙で多くを語らない秘密主義者だったスーラに対して、対照的だったのがシニャックよ。

シニャックは陽気でおしゃべり好きで、気難しくて有名だったゴッホとも親交があったほどのコミュ強(※)だったわ。

※コミュ強:コミュニケーション強者の略。コミュニケーション能力が高い人のことを指す。

本当にスーラとは真逆の性格だったんだなぁ。

スーラから大きな影響を受けていたシニャックは、スーラが確立した理論を世に広めるために奔走したの。

新印象派が、ポスト印象派と同様に20世紀の美術に大きな影響を与えることができたのは、シニャックがいたからと言ってもいいわね。

素晴らしいコンビだな……!

「新印象派」が見れる場所は?

残念ながら、日本国内に新印象派をまとめて鑑賞できる場所は無いわね。

新印象派についてもっと知りたいなら、書籍や画集を購入するのがおすすめだな!

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