写実主義について解説していくわね。
「写実」がそのまま写しとるって意味だから、なんとな〜くどんな感じか分かるぜ!
「写実主義」の代表作は?
では、まず写実主義の代表作から見ていきましょ。
あれ、なんか写実ってほど写実な感じもしないな……?
「写実主義」の特徴は?
それでは、写実主義の特徴について解説してくわ。
ありのままの現実を写しとる
なぁルネちゃん、写実主義ってもしかして……、リアルタッチで絵を描くものではない……?
気付いたわね。笑
19世紀のフランスで始まった写実主義は、絵のタッチが写実なわけではないわ。
ありのままの現実を写しとっている、という意味での写実よ。
ありのままの現実?
それって例えばどういうことだ?
写実主義の少し前に流行したロマン主義と比較すると分かりやすいわ。
ふむふむ。
ロマン主義では、個人の感情を重んじる傾向があったわね。
そうだな。
だから、鑑賞している側にも描かれた場面の恐怖心や驚き、高揚感が伝わるような作品が多かったな!
写実主義では、そういった画家の主観を乗せるような作品を作らないの。
客観的な事実だけを、脚色することなく、そのまま描くのよ。
神話や歴史を描かない
写実主義は、ギュスターヴ・クールベが「レアリスム宣言」を出したところからスタートしたわ。
クールベって、代表作にもある「オルナンの埋葬」や「石割人夫」を描いた画家だよな!
クールベの残した言葉に、写実主義を端的に現した言葉があるの。
それが、
「天使は見えないから描かない」
という言葉。
どういうことだ?!
近代のヨーロッパでは、これまで神話画、歴史画が評価されてきたの。
絵画は、神や天使、歴史上の人物などの理想を描くのが当たり前だったわ。
なるほど!
クールベはこれまでの絵画の在り方に対して、
「俺はそんな想像上のものを描くようなことはしないぞ!」
と皮肉ったのか……!
そう♪
西洋美術の長い歴史を見ても、写実主義以前はほぼ宗教画、神話画、歴史画で成り立っていたわ。
写実主義ではそれを全否定したのだから、それが当時の芸術家たちに大きな影響を与えたことは言うまでもないわね。
資本主義への反発
写実主義が発生した背景には、さっきも触れたようにロマン主義への反発があったわ。
けど、もっと根本としては産業革命がきっかけで生まれた資本主義への反発があるの。
資本主義って、生産する仕組みやそこに投じるお金を持っている資本家が、労働者から労働力を買って、価値あるサービスや商品を生んで利益を得る仕組みだよな?
そうね。
資本主義によって、確かに産業は一気に発展していったわ。
でも、結果として人と人の間に格差が生まれてしまったの。
使う側の資本家と、使われる側の労働者、というわけか……。
写実主義の芸術家たちは、その労働者を主とした庶民の現実を描こうとしたわ。
体制に反発しているのは新古典主義やロマン主義と同じだけど、写実主義はとりわけ資本主義に対する反発が根底にあるんだなぁ。
ちなみに、写実主義の旗振り役だったクールベは、左翼(※)の社会活動家でもあったのよ。
※左翼:より平等な社会を目指すための社会変革を支持する層のこと。
「写実主義」が見れる場所は?
日本国内で写実主義の作品がまとめて見られる場所は残念ながら無いわね。
もし、写実主義についてもっと知りたいっていう人がいたら、書籍や画集を購入するのがおすすめだぜ!