今回は国際ゴシック様式の解説をするわね。
何が国際なんだろ?
それと、ゴシック美術とはどう関連しているんだ?
それらについても触れていくわね♪
「国際ゴシック様式」の代表作は?
まずは、国際ゴシック様式の代表作を紹介するわね。
ピサネロ「鶉の聖母」
1420年ごろ/カステルヴェッキオ美術館(イタリア)
参照:ピサネロ – Wikipedia
なんかキラキラしているなー!
「国際ゴシック様式」の特徴は?
次に、国際ゴシック様式の特徴を解説していくわね。
ゴシック美術との関連性
国際ゴシック様式は14世紀後半から15世紀前半にフランス東部から北イタリアの辺りで発展した美術様式よ。
「ゴシック」って入っているけど、ゴシック美術とは何か関係があるのか?
関係あるわ。
国際ゴシック様式は言うなれば、一地方で独自に発展したゴシック美術なの。
なので、研究者によっては
「あくまで一地方の特色が反映されたゴシック美術にすぎないから、『国際ゴシック様式』という分類はやめよう!」
と言っている人もいるのよ;
ってことは、ゴシック美術と国際ゴシック様式の違いって方言みたいな感じなのかな?
同じ日本語ではあるけど標準語と関西弁は違うよね〜みたいな。
そうね。近いと思うわ。
だから、あえて別の様式として区別しないという研究者がいるのも分かるわね。
装飾写本がもたらした様式
じゃあ、逆になんで「国際ゴシック様式」とあえて分ける研究者がいるんだ?
それは、国際ゴシック様式がフランス東部や北イタリアにとどまらず、西ヨーロッパ全域に広がったからよ。
一地方の美術的特徴にすぎなかったものが、なんで西ヨーロッパ全域に広がったんだ?
それを説明するには「装飾写本」というものを解説する必要があるわ。
装飾写本……?
まず「写本」についてだけど、これは、
手書きで複製された本
のことそ指すの。
当時は現代みたいな印刷技術がなかったから、すべて手書きで本を作っていたのよ。
ひょえ〜〜!
全部手書きで?!
ちなみに、本の内容はどんなだったんだ?
写本が多く作られたのはキリスト教関連の書籍よ。
代表的なところだと聖書ね。
確かに聖書をたくさん増やせば布教するときにも便利だもんな!
実は写本自体はもっと昔からあったのよ。
けど、13世紀末ごろから王侯貴族の間で、鮮やかで美しい装飾を施した写本をコレクションするのがブームになったのね。
これが「装飾写本」よ。
なるほどな〜。
それで、この装飾写本ブームと国際ゴシック様式が西ヨーロッパ全域に広がったことはどんな関係があるんだ?
写本は持ち運びに適したサイズだったからよ。
その上、この時期はちょうど商業が栄え始めた時期でもあったので、写本の中には市場に流通したものもあったの。
そうか、それで西ヨーロッパ全域に国際ゴシック様式が広まっていったんだな〜。
ちなみに、国際ゴシック様式の「国際」は西ヨーロッパ全域に流通したことを指しているわ。
金ピカなキリスト教絵画
そんな風に各地に広まっていった国際ゴシック様式だったんだけど、最大の特徴はきらびやかで幻想的な絵画表現よ。
どれもキラキラしているな〜って思ったけど、それが国際ゴシック様式の特徴だったのか!
そうね。
とりわけ金箔の使い方は特徴的ね。
まばゆく輝く金色のキリスト教絵画だったら国際ゴシック様式だと思っても良いわね♪
植物の表現がリアル
国際ゴシック様式のもう一つの特徴は、植物の表現がリアルなことよ。
ゴシック美術の解説記事でも徐々に写実的になっていったって言っていたけど、国際ゴシック様式も同じだったんだな〜。
そうね。
とりわけ植物の描写が写実的になったのは、これも写本の存在が関係しているの。
ここでも写本が関係してくるんだな!
写本はキリスト教のためだけでなく、学問のためにも作られていたわ。
今で言う図鑑のような役割を果たす写本もあったの。
図鑑なのだから、当然なるべく写実的に描く必要があるわよね。
なるほどな〜。
国際ゴシック様式において、写本の存在はとても大きかったんだなぁ。
「国際ゴシック様式」が見れる場所は?
国際ゴシック様式の作品を見られる場所は、日本国内にはほとんど無いわね。
となると、ヨーロッパへ行って鑑賞するか、それが難しいなら書籍や図録を見るが良いのか?
ヨーロッパへ鑑賞旅行へ行くのは良いと思うけど、実は画集も書籍もあまり無いの。
図録などでゴシック美術の一部として掲載されているのを見るなどするのが良いと思うわ。