芸術家「宮本武蔵」を分かりやすく解説!

芸術家「宮本武蔵」を分かりやすく解説!

今回は江戸時代初期に活躍した剣術家であり、芸術家でもある宮本武蔵を紹介するわ。

み、み、宮本武蔵?!

あの、佐々木小次郎と巌流島で決闘した、あの……?!

武蔵・小次郎像

決闘の舞台となった山口県下関市の巌流島(船島)にある武蔵・小次郎像。
右側の振りかぶっているのが宮本武蔵。
参照:武蔵・小次郎像│下関市公式観光サイト 楽しも!

そのとおりよ♪

実は宮本武蔵には画家、書家としての側面もあるのよ。

「宮本武蔵」の代表作は?

まずは宮本武蔵の代表作を紹介するわね。

宮本武蔵「枯木鳴鵙図」
宮本武蔵「枯木鳴鵙図」
制作年不明/和泉市久保惣記念美術館所蔵(大阪府)

宮本武蔵「鵜図」

宮本武蔵「鵜図」
制作年不明/永青文庫所蔵
参照:紙本墨画鵜図〈宮本武蔵筆/〉 文化遺産オンライン

宮本武蔵「紅梅鳩図」

宮本武蔵「紅梅鳩図」
制作年不明/永青文庫所蔵
参照:紙本墨画紅梅鳩図〈宮本武蔵筆/〉 文化遺産オンライン

素朴でいいな〜!

「宮本武蔵」はどんな人?

宮本武蔵というと、一般的には巌流島で決戦をおこなった剣術家というイメージよね。

ただ、うち(ARTFANS)はアートを扱うメディアなので、この記事では主に芸術家としての宮本武蔵について解説していこうと思うわ。

とはいえ、巌流島で決闘をしたくらいしか知らないから、剣術家としての実績も簡単に触れてほしいぜ!

13歳から29歳まで無敗の剣豪

宮本武蔵は、13歳から29歳までに経験した60回ほどの戦いで一度も負けたことが無いのよ。

めちゃくちゃ強いな……!
プロボクサーの井上尚弥選手ですら、2021年6月21日現在で21戦21勝だっていうのに……!

(そこと比べるのね……)

この無敗伝説は、武蔵が自身の著書「五輪書」の中で書いていることなので、自己申告ではあるわね。

ただ、武蔵が武将としてさまざまな戦で活躍していたことは、他の史料からも裏付けられているので、大きく間違ったことは言っていないと思うわね。

小説やドラマなどで創作、誇張された部分もあるっぽいけど、実際に活躍していた人だったと知れて良かったぜ!

ちなみにこれが武蔵の肖像画と言われているものよ。

宮本武蔵の肖像画
宮本武蔵の肖像画(作者不詳)。
武蔵が創始した、二本の刀を持つ「二天一流」の特徴が見てとれる。

さまざまな物作りをおこなったクリエイター

宮本武蔵は、やっぱり一般的には剣豪というイメージが強いと思うけど、実はさまざまなものを作っているクリエイター気質な部分もあるのよ。

絵や書をやっていただけでも意外だったのに、他にも何か作るのか?!

武蔵が亡くなった後に著された「海上物語」という書物では、

武公平居閑静して(中略)連歌或は書画小細工等を仕て日月を過了す、故に武公作の鞍楊弓木刀連歌書画数多あり

と、書かれていたわ。

どういう意味だ?

ざっくり言うと、

「普段は家にこもって物作りをして過ごしていて、武蔵が作った鞍(※1)、楊弓(※2)、木刀、連歌(※3)、書、絵がたくさんある」

ということね。

(※1)鞍:馬に乗るときに使用する馬具。
(※2)楊弓:遊戯用の小弓。
(※3)連歌:複数人でリレー形式で和歌を詠む歌詠みの様式。

鞍や弓、木刀まで作っていたのかよ……!

武蔵は五輪書の中で、

書画などの諸芸に関わることも兵法を鍛錬する手段である

と述べているの。

趣味というより鍛錬の一貫だったんだなぁ。
武蔵は武道家だなぁ……。

「宮本武蔵」の作品の特徴は?

それでは、宮本武蔵の作品の特徴を解説するわね。

国の重要文化財に指定されている

武蔵の作品のうち、代表作にある「鵜図」「枯木鳴鵙図」「紅梅鳩図」は国の重要文化財に指定されているわ。

すげぇ……!

国の重要文化財は、

「日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上・芸術上の価値の高いもの、または学術的に価値の高いもの」

という定義がなされているの。

ということは、武蔵の作品は歴史的 or 芸術的に価値が高いと判断されたんだなぁ。

他にも、武蔵が考案した鍔(つば)が熊本県の文化財に指定されているわね。

鍔って?

柄を握る手を守るためにある刀の部位よ。
画像を見たら分かると思うわ。

鍔の参考画像
鍔の参考画像。
右側の丸い部分が鍔。

ああ、これか!

ちなみに、武蔵が考案したのは「海鼠透鐔(なまこすかしつば)」という鍔。

宮本武蔵「海鼠透鐔」

宮本武蔵が考案した「海鼠透鐔」。
二つのナマコで挟んだようなデザインなので「海鼠透」と呼ばれている。
海鼠透図鍔 宮本武蔵 Musashi Tsuba – 鐔鑑賞記 by Zenzai

無駄が無く機能的なデザイン

こうやって作品を見ていると、武蔵は徹底して機能性を重視している印象があるな。
名デザイナー・宮本武蔵の姿が垣間見えるな……!

そうね。
武蔵の作品に共通する特徴として、そのデザイン性の高さがあるわね。

枯木鳴鵙図なんか、空間に無駄が無いし筆使いに迷いも無い。

この洗練された様は武蔵らしさだな〜って思うぜ!

「二天」の号

武蔵の水墨画作品には「二天」という号が書かれていることが多いわ。

この「二天」の号が、武蔵作の真贋を見分ける一つのポイントとなっているわね。

二天ってどういう意味なんだ?

二天は、武蔵が完成させた剣術である「二天一流」からとられているの。

二天一流ってどんな剣術なんだ?

右手に大太刀、左手に小太刀を持つ、二刀流の剣術なのよ。
武蔵の肖像画を見ると分かりやすいわね。

宮本武蔵の肖像画
右手に大太刀、左手に小太刀を持ち、脱力した状態で構える武蔵の姿が描かれている。

なるほどな!

剣術を完成させて五輪書にまとめて書籍化し、デザイン性の高い美術品をいくつも作ったなんて、改めて武蔵は多くの功績を残した人だったんだなぁ。

「宮本武蔵」の作品はどこで見れる?

宮本武蔵の作品はどこで見ることができるんだ?

東京都文京区にある「永青文庫」には、武蔵の作品が多数所蔵されているわ。

具体的には、

・鵜図
・正面達磨図
・面壁達磨図
・捫腹布袋図
・芦雁図


といった武蔵の絵画作品があるわね。

永青文庫は日本美術や東洋美術を扱った美術館なんだな。

文庫だから本屋かなって思ったぜ!

他にも武蔵の作品が見られる場所はあって、

例えば、

和泉市久保惣記念美術館(大阪府和泉市)
所蔵作品:「枯木鳴鵙図」

岡山県立美術館(岡山県岡山市)
所蔵作品:「周茂叔図」「遊鴨図」「布袋図」

福岡市美術館(福岡県福岡市)
所蔵作品:「布袋観闘鶏図」

松井文庫(熊本県八代市)
所蔵作品:「芦葉達磨図」「野馬図」

といった美術館があるわ。

武蔵の作品が鑑賞できる場所は、西日本に多いんだな!

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