画家「東山魁夷」を分かりやすく解説!

画家「東山魁夷」を分かりやすく解説!

今回は日本を代表する画家、東山魁夷を紹介するわね。

童話のような青色の森とか湖を描く画家だよな!

「東山魁夷」の代表作は?

まずは、魁夷の代表作を見てみましょう。

東山魁夷「道」の画像
東山魁夷「道」
1950年/東京国立近代美術館
参照:生誕110年 東山魁夷展 – アートダイアリー – 文化庁広報誌 ぶんかる
東山魁夷「残照」
1947年/東京国立近代美術館
参照:生誕110年 東山魁夷展 – アートダイアリー – 文化庁広報誌 ぶんかる
東山魁夷「緑響く」の画像
東山魁夷「緑響く」
1982年/長野県信濃美術館 東山魁夷館
参照:生誕110年 東山魁夷展 – アートダイアリー – 文化庁広報誌 ぶんかる

なんだか夢の中にいるような、不思議な静けさがあるよなぁ。

「東山魁夷」はどんな人?

では、次は東山魁夷がどんな人か解説していくわ。

「魁夷」は本名ではない

東山魁夷は幼いころから絵を描くことが好きで、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の日本画科に入学したわ。

芸術エリートなんだな!

そうね。
そしてそのまま研究科(現在で言うところの大学院)へ進学、そのタイミングで「魁夷」という雅号(※1)にしたの。

(※1)雅号:画家・文筆家などが本名とは別でつける風流な名前。

あれ?
魁夷って本名じゃなかったのか。

そう、本名は東山新吉なの。
だから、苗字の東山はそのままに使用した形ね。

「魁夷」という雅号には何か意味が込められているのか?

魁夷という言葉自体に何か意味があるわけではないわ。

ただ、音や字面のバランスでこの二文字にしたと言われているのよ。

優しい響きの「東山」に対して、画家の道には厳しさも必要であるという意味を込めて、堅くて厳しい印象の「魁夷」を当てたとも言われているわ。

戦争の喪失体験

魁夷の人生を語る上で避けられないのが戦争体験よ。

魁夷は1908年生まれだから、30代のときに太平洋戦争を経験しているのか。

自身も終戦間際に部隊に入隊することになって、人生において一番精力的に活動できる時期を戦争に翻弄されることになったわ。

そして魁夷は、この戦争によって母親と弟を亡くしてしまったの。

そんな……!

母と弟の死で失意の底にいた魁夷は、絵を描くことに没頭したわ。

その結果、終戦の二年後には代表作にもあった「残照」で、日展(※2)で特選を受賞したの。

(※2)日展:日本最大の総合美術展覧会の名称。

すごいな!

さらにその三年後には、同じく代表作の「道」を日展で絶賛されて、人気画家の道を駆け上がったわ。

戦争での喪失体験は悲劇だったけど、それがあったからこそさらに、魁夷の絵画表現が磨かれていった部分はあったんだろうなぁ。

長寿で多作な画家

戦争を経て39歳から画家として活躍し始めた魁夷は、52歳のときには宮内庁からの依頼で東宮御所の壁画を制作したわ。

さらに、62歳のときには、毎日芸術大賞と文化勲章を受章して、文化功労者にも選ばれたのよ。

遅咲きだったけど、ものすごく活躍したんだな。

そう、確かに画家として画壇デビューするのは遅かったわね。

でも魁夷は、90歳で亡くなる直前まで描き続けていたから活躍していた期間は長かったのよ。

90歳は確かに長生きだな!

長寿で活動期間が長かったこともあって、魁夷の作品数はとても多いの。

長野県信濃美術館の東山魁夷館にある作品数だけで、970点を超えるわ。

きゅ、970点?!
ひょえ〜〜!凄まじい数だな……!

「東山魁夷」の作品の特徴は?

それでは魁夷の作品の特徴について解説するわね。

魁夷の作品は、モチーフにも色にも個性があるから、見た瞬間に「これ魁夷の作品だろうな〜」って分かるものが多い印象!

全作品で人物が描かれていない

魁夷の全作品に共通する最大の特徴は
人物が描かれていない
ということね。

確かにそうだな!

学生時代に長野の大自然に魅せられて以来、風景画を描くことが多い画家ではあったわ。

長野を「私の作品を育ててくれた故郷」って呼んでいたくらいだもんな〜。

けど、より強い意志で人物を描かなくなったのは戦争体験が大きく影響しているの。

死に直面して絶望感に襲われていた魁夷は、ふと目にした田園風景に心を奪われたわ。

きっと、何気ない日常の自然風景に生を見出したんだろうなぁ。

静謐な風景画

けど、魁夷の作品って「生命力があふれている!」って感じはあまりしないよなぁ。

そうね。
かなり静かでひっそりしたイメージがあると思うわ。

これもやっぱり戦争体験が関係しているわね。

やっぱり太平洋戦争の存在を抜きで語ることはできないってことか……。

強烈に死を意識する体験を経た魁夷は生涯、絵画制作を通して自身の存在を見つめ続けたの。

その生き様がその静謐な風景画に反映されていると言えるわね。

東山ブルー

魁夷の作品の最大の特徴として「人物が描かれていない」って言ったけど、もう一つ分かりやすい特徴として透き通るような青色があるわね。

確かに、魁夷の作品は青の色合いで見分けている部分があるな。

この、魁夷の特徴的な青色のことを「東山ブルー」と呼ぶの。

フェルメール・ブルーみたいに、自身の名前が冠されているってすごいな〜!

魁夷は青という色を、
感覚と精神の世界を繋ぐ色
と評していたわ。

わたしたちが魁夷の青色を特別に感じるのは、鑑賞を通じて魁夷の創造した静謐な精神世界へと誘われるからかもしれないわね。

「東山魁夷」の作品はどこで見れる?

魁夷の作品はどこへ行けば見られるんだ?

代表作の「道」や「残照」は東京国立近代美術館で鑑賞することができるわね。

ただ、それ以外の場所でも魁夷にゆかりのある地の美術館であればたくさんの作品に出会うことができるわ。

となると、やっぱり魁夷にとって第二の故郷とも言える長野……

そのとおりね♪

さっきも少し触れたけど、長野にある長野県信濃美術館には東山魁夷館があって、そこには970点もの魁夷の作品が所蔵されているわ。

他にもあるのか?

他にも、東山魁夷の作品に出会える旅路館(岐阜県)は500点ほど、香川県立東山魁夷せとうち美術館(香川県)には270点ほどの魁夷作品があるわね。

どこも多いなぁ!!

それと、唐招提寺にも魁夷が描いた障壁画があるわ。

東山魁夷「唐招提寺御影堂障壁画」の画像

東山魁夷「唐招提寺御影堂障壁画」。
鑑真和上に捧げるため、魁夷が10年の歳月をかけて完成させた大作。
参照:御影堂 | 伽藍と名宝 | 唐招提寺

あの鑑真が創建した唐招提寺に?!

そう。

そして信じられないような偶然なんだけど、魁夷はその鑑真と命日がまったく同じなのよ。
何か不思議な縁を感じるわよね♪

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